HEMEL（ヘイメル）は芸術家ではありません。真の芸術家は、自然そのものです。私たちは毎年、自然が授けてくれる恵みを謙虚に受け止め、それを解釈し表現していくのです。

年ごとの気候に大きく左右されやすく、毎年わずかしか生産できない ─ J. Formosana（ジェイ・フォルモサナー）。その自然の恵みが生み出す独特な香りと深い味わいは、誰しもを魅了せずにはいられません。

J. Formosana（ジェイ・フォルモサナー）を造る際の基盤原料である東方美人茶は、新竹県北埔郷にひっそりと佇む秘境の茶園から生まれます。なだらかな丘陵と重なる山々、豊かな水源が育むこの静謐な自然の聖域は、まるで緑の神殿のように、一株一株の茶樹を守り、その生命の息吹を奏でています。

北埔郷は、東方美人茶の最高峰の産地として名高く、HEMEL の契約する特級茶園は、酸性の粘土質紅壌が広がる丘陵地帯に位置しています。肥沃で有機物に富んだこの土地は、自然のリズムと見事に調和し、美しい茶葉を育みます。

この上質な東方美人茶を基に造られる J. Formosana（ジェイ・フォルモサナー）の唯一無二の風味を創り上げる鍵は、小さな緑のジャコビアスカー・フォーモサナー（Jacobiasca formosana）という虫です。この虫が茶葉に噛みつくことで、茶葉内部で奇妙な化学変化が起こり、ポリフェノールやカテキンの含有量が顕著に増加します。この自然の魔法によって、トロピカルフルーツを思わせる芳醇な香りや、蜂蜜のように滑らかな甘さ、そして深みのある味わいを生み出します。

口に含むと、南国の果実が優雅に舞うような甘美な風味が広がります。蜜のような繊細な甘さが、ドライフルーツやリュウガンの芳香をまとい、奥行きのある円熟したまろやかさをもたらします。続いて、微かなシトラスの余韻が広がり、最後にはバラのように華やかな香りが残ります。

ジャコビアスカー・フォーモサナーの生息を促すには、農薬や化学肥料、除草剤を一切使用せず、下草も刈らずに自然のままの環境を大切にした有機栽培が必要です。また、ジャコビアスカー・フォーモサナーによる噛みつきは人工的に制御できず、全てが自然の営みと四季の移ろいに委ねられています。

そのため、J. Formosana（ジェイ・フォルモサナー）は風土の影響を色濃く受け、毎年少量しか生産されない、極めて稀少な存在なのです。

真善美の探究、品質、職⼈技、創造性、独⾃性。それが HEMEL が⽬指す価値です。

私たちは、森羅万象と人類にできる限りの損害を与えないことを目指しつつ、正当な利益を実現する現代の人間主義的資本主義の形態を信じています。常に人々の価値を尊重し、文化の伝統に敬意を払い、天の創造物である自然を大切に守ることを心がけています。これらの思想は、私の道を常に照らす指針となり、このように創造されたものこそが真の価値を持つと信じています。

‘ すべての人に敬意を表せよ。’ St. Benedict from Norcia